ネット回線の回線速度や安定性に不満が出てきたとしても、すぐに回線変更するのはなかなか勇気がいるもの。
安易な回線の乗り換えは、金銭的な負担だけでなくトラブルの原因となることも…
そんな時に気になるのがプロバイダ。
よくわからないから変えるのが怖いという方も多いですが、最低限の知識があれば回線のパフォーマンスを上げつつ、リスクを避けることも可能です。
「回線変更は違約金など高額だから、まずはプロバイダを乗り換えてみたい」
「どんなプロバイダやサービスがあるのか知りたい」
そんな方のために今回は、プロバイダの役割や乗り換え時の注意点、各社サービスの違いなどについてお話していきます。
「自分に合ったプロバイダを契約したい!」という人は、ぜひご覧ください。
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1.プロバイダの役割を解説
プロバイダは「インターネット接続事業者」のことで、「インターネット回線とインターネットの接続」が主な役割です。
インターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider)が正式名称ですが、頭文字を取って「ISP」と呼ばれることもあります。
有名なプロバイダにはBIGLOBEやYahoo!BBなどがあり、ほかにはメールアドレス、セキュリティソフト、ひかり電話の提供も行っています。
プロバイダと混同されがちなのは、回線事業者です。
フレッツ光やauひかりといった回線事業者の役割は、あくまでもインターネット回線そのものを提供することにあります。
また、「光ファイバーを自宅まで引く工事」「回線終端装置(ONU)やモデムのレンタル」といったサービスの提供も回線事業者が行います。
つまり、インターネットを利用するには、回線事業者とプロバイダの両方と契約する必要があるのです。
1-1. 回線とプロバイダはセットが主流
現在は、最初から回線業者とプロバイダがセットになった一体型の事業者が増えています。
両方を取り扱う事業者なら、セットでの提供が可能だからです。
たとえば「NURO光」という光回線を申し込むと、「So-net」というプロバイダも同時に契約されます。
NURO光の利用料金には、プロバイダ料金も含まれています。
以前はインターネットの利用に、回線事業者とプロバイダどちらの契約も必要でした。
代表的な回線事業者がフレッツ光で、回線使用料とプロバイダ料金のどちらも支払う必要があったのです。
しかし、2015年からは「光コラボレーション」により回線サービスとプロバイダサービスが一本化されることになりました。
1-1-1. 光コラボレーション=「光回線」+「独自サービス」
光コラボレーション(以下光コラボ)は、プロバイダや携帯キャリアといった事業者に光回線を販売するサービスモデルを指します。
NTT東日本/西日本は、自社や代理店経由で光回線を販売していました。
2015年2月からは、他社へ販売することになったのです。
フレッツ光の提供を受ける事業者を「光コラボ事業者」と呼び、光回線に独自のサービスを加えて一般ユーザーへ販売しています。
なお、光コラボに参入している事業者数は約600社です。
2.プロバイダの乗り換えで気を付けること
以下に、プロバイダ乗り換え時の注意点をまとめました。
- 契約中のプロバイダのサービスは使えなくなる
- 違約金が発生する場合もある
- プロバイダの乗り換えができないサービスもある
- 悪質な勧誘をするプロバイダも存在する
下記から、順番にみていきましょう。
2-1. 契約中のプロバイダのサービスは使えなくなる
プロバイダを乗り換えると、契約中のサービスは継続できません。
乗り換え先のプロバイダのサービスを利用することになるからです。
具体的なサービスには、「プロバイダのメール」や「モデムやルーターのレンタル」などがあります。
プロバイダメールは使えなくなり、レンタル機器は返却しなければなりません。
同じサービスを利用するなら、乗り換え先のプロバイダで契約する必要があります。
2-2. 違約金が発生する場合もある
一部のプロバイダやサービスでは、解約時に違約金が発生してしまいます。
回線とプロバイダの個別契約は最低利用期間が設定されていることが多く、期間内に解約すると違約金を支払わなければなりません。
ただし、回線事業者の解約に比べると安価に設定されています。
月額料金 | 違約金 | |
---|---|---|
回線事業者 | 4,500~6,000円(税込4,950~6,600円) | 9,500~27,000円(税込10,450~29,700円) |
プロバイダ | 1,000円(税込1,100円)前後 | 3,000~5,500円(税込3,300~6,050円) |
上記から、プロバイダの違約金は回線事業者より安価であることがわかります。
また、個別の契約でも「ぷらら」のように、違約金が不要なプロバイダもあります。
プロバイダを乗り換える前には、現在の利用期間や違約金の金額を確認しておきましょう。
2-3. プロバイダの乗り換えができないサービスもある
一部の回線事業者は、プロバイダの乗り換えができません。
たとえば、最初から一種類しかプロバイダが用意されていないようなサービスです。
NURO光にはSo-netしかプロバイダを選べないので、そもそも他社へ乗り換えることはできません。
こういったケースでは、回線事業者と一緒に乗り換える必要があります。
契約中のプロバイダは乗り換え可能なのか、公式サイトなどで事前に確認しておくことが大切です。
2-4. 悪質な勧誘をするプロバイダも存在する
悪質な勧誘をするプロバイダには、注意が必要です。
実際に、過去には電話勧誘による多数の苦情があったため、総務省からプロバイダ2社に改善指導が行われています。
引用:総務省「遠隔操作によるプロバイダ変更等に係る不適切な勧誘方法等に関する指導」
主な流れは、以下のとおりです。
- 電話でプロバイダの変更を勧誘
- 利用者が承諾すると、一旦電話が切られる
- 別の担当者から電話がある
- 電話からの指示で、遠隔操作用ソフトをダウンロードする
- IDとパスワードを担当者に伝える
- 担当者が遠隔操作を行って利用者のプロバイダを変更する
プロバイダはNTTの関連会社であることを名乗って利用者を安心させ、遠隔操作で利用者の購入意思に関わらずオプションに加入させていたようです。
以上のような事例から、勧誘によるプロバイダの変更はおすすめしません。
3.プロバイダの種類と各社サービスの違い
プロバイダには、以下のような種類があります。
- 通信会社系
- 電力会社系
- 電機メーカー系
下記から、順にみていきましょう。
3-1. 通信会社系のプロバイダ
携帯電話サービスを提供するNTT、KDDI、ソフトバンクの系列プロバイダです。
通信会社 | 代表的なプロバイダ |
---|---|
NTT系列 | ぷらら OCN ドコモネット |
KDDI系列 | au one net コミュファ光 BIGLOBE |
ソフトバンク系列 | Yahoo!BB |
元々BIGLOBEは電機メーカー・NEC系列のプロバイダでしたが、2017年1月のKDDI完全子会社化に伴って、KDDI系列となりました。
通信会社系のプロバイダを選ぶメリットは、以下のとおりです。
- 携帯料金の割引やキャッシュバックなどの特典が受けられる
- 携帯料金と一緒に支払いできる
携帯電話をお得に利用したい人には、通信会社系列のプロバイダが向いています。
3-2. 電力会社系のプロバイダ
電力会社が運営するプロバイダです。
そもそも電力会社は地域によって異なるので、プロバイダとサービス内容も地域で違います。
地域 | 電力会社 | プロバイダ |
---|---|---|
北海道 | 北海道電力 | HOTCN |
関西 | 関西電力 | eo |
中国 | 中国電力 | メガエッグ |
四国 | 四国電力 | ピカラ |
九州 | 九州電力 | ビビック |
以下は、電力会社系プロバイダを利用するメリットです。
- プロバイダによっては、電気とセットで割引される
- 回線もプロバイダも1社で提供できるから、利用料金が安い
月額料金の安さを重視するなら、電力会社系プロバイダをおすすめします。
3-3. 電機メーカー系のプロバイダ
電機メーカーが運営するプロバイダのことです。
電機メーカー | プロバイダ |
---|---|
SONY | So-net |
富士通 | @nifty |
NEC | BIGLOBE |
三菱電機 | DTI |
パナソニック | hi-ho |
ただし、@niftyはノジマ、BIGLOBEはKDDIといったように、SONY以外のプロバイダは他社に買収されています。
電機メーカー系列のプロバイダを利用するメリットです。
- サポート体制が充実
- セキュリティに強い
パソコンを製造・販売などの実績があるため、サポート力やセキュリティに強いといった特徴があります。
サポート力を重視するなら、電機メーカー系列のプロバイダがおすすめです。
4.おすすめのプロバイダと回線をご紹介
おすすめのプロバイダと回線は、以下のとおりです。
- おすすめのプロバイダ:VNE事業者と提携するプロバイダ
- おすすめの回線:光コラボ事業者
下記から、詳細をみていきましょう。
4-1. おすすめのプロバイダ:VNE事業者と提携するプロバイダ
具体的には、以下のプロバイダです。
- @nifty
- BIGLOBE
- NTT系列のプロバイダ(OCN、ドコモネットなど)
- IIJ
- Yahoo!BB
契約中の光回線がIPv6(IPoE接続)に対応しているなら、VNE事業者と提携するプロバイダに乗り換えることでパフォーマンスが向上する可能性が高くなります。
VNE事業者(Virtual Network Enabler)とは、「仮想通信事業者」と呼ばれるIPoE版のプロバイダの役割に相当する事業者のことです。
従来の接続方式であるPPPoEは網終端装置で混雑が発生してしまうので、速度の低下や不安定な通信の原因になってしまいます。
新しい接続方式のIPoEは、VNE事業者の大規模・大容量の設備を介するために混雑は極めて発生しにくいのです。
よって、契約中の光回線がIPv6に対応しているなら、上記のプロバイダをおすすめします。
なお、IPv4やIPv6については以下の記事で詳しく解説しています。
4-2. おすすめの回線:光コラボ事業者
光コラボ事業者は、NTTのフレッツ光を提供する事業者です。
以下は、光コラボの代表的な回線です。
- フレッツ光
- ドコモ光
- ソフトバンク光
- ビッグローブ光
- So-net光プラス
おすすめする大きな理由は、光コラボ同士での乗り換え時にあります。
メリットは、以下のとおりです。
- 工事が不要
- ひかり電話の番号を継続できる
- 利用料金の安い事業者に乗り換えられる
- 通信会社系なら携帯電話とのセット割が適用される
- IPv6(IPoE)接続の事業者への乗り換えも可能
乗り換え時の負担が少なく選択肢も豊富なことから、光コラボ事業者の回線をおすすめします。
5.まとめ
回線速度や通信の安定性に問題があるなら、まずは周辺機器や通信障害なども疑ってみてください。
ほかに原因がないなら、プロバイダの可能性もあります。
IPv4にしか対応していないなら、IPv6またはIPv4とIPv6の両方に対応したプロバイダに乗り換えるべきです。
回線とプロバイダの契約が別なら、利用期間や違約金の確認も忘れないようにしましょう。
せっかくの光回線ですから、十分なパフォーマンスで快適なインターネットを楽しみたいですね。
インターネットの勧誘や光コラボの転用、速度に関してお困りではありませんか?
2015年から始まった光コラボレーションの普及により多くの事業者が顧客の集客に力を入れています。
「NTTかと思って契約したら違う会社だった」
「絶対に変えないといけないような勧誘だった」
「フレッツ光からコラボに移行して速度が遅くなった」
などなど・・実際に光コラボへの乗り換えによりこのような思いをされている方も多いはずです。
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